メラトニン
松果体から分泌されるホルモンです。睡眠や性成長に関わっています。また季節のリズムや概日リズム(サーカディアンリズム)の調節作用を持ちます。
メカニズム
網膜から入った外界の光刺激は、体内時計(生物時計・視交叉上核)を経て松果体に達します。
明るい光によってメラトニンの分泌は抑制されるため、日中にはメラトニン分泌が低く、夜間に分泌量が十数倍に増加する明瞭な日内変動が生じます。ただし昼夜の区別のない環境(窓のない密室内など)でも、体内時計からの神経出力によって昼高夜低の日内変動は続きます。逆に強い照明(1000ルクス、コンビニの店内など)を浴びれば、夜間であってもメラトニン分泌量は低下します。すなわちメラトニンは体内時計と環境光の両方から調節を受けています。多くの生物でメラトニンは生体リズム調節に重要な役割を果たしています。鳥類での渡りのタイミングや季節性繁殖(メラトニンには性腺萎縮作用があります)などの季節のリズム、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの概日リズム(サーカディアンリズム)の調整作用があります。
メラトニンには催眠作用があるため、欧米では睡眠薬としてドラッグストアなどで販売されています。しかし、一般的にメラトニンの催眠作用は弱く、寝る前に服用しても寝つきは若干良くなるものの、不眠症の改善効果は乏しいことが分かっています。
メラトニンが有効な疾患
概日リズム睡眠障害(睡眠・覚醒リズム障害)
非24時間睡眠覚醒リズム
睡眠相後退症候群
交代勤務睡眠障害
時差症候群
上記疾患に対してはメラトニンが有効です。しかしメラトニンのリズム調整作用を十分に引き出すには特殊な時間帯での服用が必要となります(寝る前ではなく、睡眠検査により時間帯を決めていきます)。
引用:(当サイトが加工/編集 2021/10/20)