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#206 上部消化管内視鏡検査:胃カメラ(GF,EGD) Gastroscope

上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)

口または鼻から内視鏡を挿入し、食道・胃・十二指腸を観察する検査上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)といいます。通常は口から内視鏡を挿入して検査をする場合が大半ですが、近年は鼻から入れる内視鏡(経鼻内視鏡) の高画質化や、オエっとなる咽頭反射からの苦痛が少ないことから鼻から検査をする場合も増えています。基本的に検査は左側臥位で行われます。*EGDはesophagogastroduodenoscopyの略になります。

胃カメラの目的

食道、胃、十二指腸に炎症や潰瘍、ポリープや腫瘍などの観察をする場合に検査します。ポリープや腫瘍に関してはその組織を採取し病変がないか検査します(生体検査)

炎症

急性胃炎、慢性胃炎、逆流性食道炎、バレット食道など

潰瘍

胃潰瘍、十二指腸潰瘍など

ポリープ

胃ポリープ、十二指腸ポリープなど

腫瘍

食道がん、胃がん、十二指腸がん、胃・十二指腸粘膜下腫瘍など

上部消化管が影響する症状の精査

食欲低下、腹痛、胸焼け、貧血、吐血などの症状がある場合は検査を行い原因の精査を行います。上部消化管で病変が確認されない場合は下部消化管内視鏡検査も行われます。

胃カメラによる治療の種類

上部消化管に病変(ポリープや腫瘍など)を認めた場合は、内視鏡を用いて切除(内視鏡的切除)を行います。早期癌に対して有効で患者の身体的負担が数ない治療になります。切除後は切除した部位に人工的に潰瘍が発生します。そのため原則入院に出血や穿孔がないかを経過観察していきます。

ポリペクトミー

内視鏡を用いてポリープを切除します(良性腫瘍も含まれます)。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

内視鏡を用いて粘膜を切除します。時間は15分から30分ほどです。1回で切除できない場合は複数回に分けて切除を行う場合もあります。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

内視鏡を用いて使用可能な高周波メスを使い、粘膜より下層の病変を剥がし取ります。時間は1時間から5時間で病変によって異なります。

超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)

超音波内視鏡 (EUS)を用いて腫瘍細胞を回収します。この回収された検体から腫瘍の診断を行います。

胃カメラ前の注意点

前日の夕食から絶食

通常は前日の夕食後(20時まで)から検査までは絶食となります(水分は水であれば摂取可能です)。

休薬の確認

降圧薬や抗血小板薬/抗凝固薬などの休薬に関しては主治医に確認する必要があります(通常は休薬しません)。ただし血糖降下薬に関しては絶食しているため休薬する場合が大半です。

抗コリン薬(鎮痙剤)使用の禁忌

食道や胃を詳しく観察するためには、蠕動運動が観察の妨げになることが考えられます。そのため、「ブスコパン」など消化管の動きを抑える働きのある薬(抗コリン薬)を使用する場合がありますが、緑内障や前立腺肥大、重篤な心不全、麻痺性イレウス、出血性大腸炎の疾患を持つ人には投与が禁忌となるため、事前の問診で該当する疾患がないか確認を行なっていく必要があります。 抗コリン薬が使用できない場合は、「グルカゴン」という薬を注射することがあります。この薬は血糖値を上げる作用があることから、まれに検査後(約90分)に低血糖になるリスクがあります。最近は、「ℓ-メントール」という胃に直接投与するお薬(鎮痙剤)があります。ℓ-メントールでは投与禁忌が少ないことや投与禁忌の問診、胃に直接投与することから注射の手間がありません。

抗コリン薬とは?

抗コリン薬はアセチルコリンの働きを抑え、副交感神経の働きを抑える役割があります。その結果、交感神経が優位な状態となります。交感神経が優位となった結果、トラブルが起きることを以下で説明していきます。

緑内障

抗コリン作用により眼圧が上昇し、症状を悪化させる恐れがあります。

前立腺肥大

排尿障害を悪化させる恐れがあります。

重篤な心不全

心拍数が増加することにより、症状を悪化させる恐れがあります。

麻痺性イレウス

消化管運動を抑制することにより、症状を悪化させる恐れがあります。

出血性大腸炎

O157(腸管出血性大腸菌)や赤痢菌などの重篤な細菌性の下痢では、症状の悪化や治療の遅延につながる恐れがあります。

グルカゴンのリスク

低血糖のリスクがあります。糖分を補給すれば問題はありませんが、そのまま放置すると意識消失から2次障害につながる恐れがあるため、顔面蒼白、冷や汗など低血糖の症状の説明と観察、対処方法について伝える必要があります。

胃カメラ後の注意点

検査後30分から1時間は飲食できない

前処置により咽頭麻酔を行なっている影響で、咽頭麻酔の効果が切れるまで30分から1時間ほどは飲食ができません。

検査後に腹部症状などが出現した場合は受診

吐き気や腹痛、黒色便(タール便)などが出現した場合はすぐに受診します。消化管出血などの合併症の可能性があります。

運転の制限(鎮痙剤、鎮静剤を使用した場合)

検査当日検査後の車の運転はできません。そのため、車などで来院することはできませんので、事前に説明や当日に確認が必要になります。

切除や生検を行った場合

切除や生検を行った場合は検査後の「出血を防ぐ」ことが大切になってきます。

食事などの制限

ポリープや腫瘍、生検などを行った場合は刺激のある食事や飲酒、コーヒーなどの摂取を2〜3日控えます。

当日の入浴や運動の制限

ポリープや腫瘍、生検などを行った場合は当日は入浴せずシャワー浴にします。また当日の激しい運動は控えます。

胃カメラによる合併症

内視鏡操作により消化管を傷つけることによる消化管出血や消化管に穴が空く穿孔などのリスクがまれにあります。

消化管出血

穿孔

前処置の咽頭麻酔によるショック

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