慢性腎臓病(CKD)
3ヶ月以上腎臓が障害され、腎臓の機能が悪化した状態(診断を参照)のことを慢性腎臓病(CKD)といいます。わが国のCKD 患者は1,330 万人に達しており、成人の8人に1人がCKD患者になります(参考④)。
原因
合併症
高カリウム血症
高マグネシウム血症
高リン血症
尿毒症
肺水腫
脳梗塞
心筋梗塞
血管病変(下肢潰瘍、閉塞性動脈硬化症:ASO など)
症状
CKDの症状を理解するには、腎臓の機能を理解するとわかりやすいかと思います。腎臓の機能は大きく分けて2つあります。①血液を介して様々な物質を排泄すること②体内の水分を排泄すること、に分けられます。①においてはそれぞれの合併症の症状が現れます。その他にも体内の老廃物を排泄できないことによる症状が現れます。②においては水分の貯留による症状が現れてきます。
初期の段階ではほとんど自覚症状がありません。しかし進行していき腎臓の機能が低下すると、体内の老廃物を尿へ排泄できなくなり血液中の有害な物質が増加します(尿毒症)。本来、体内に必要な成分は再吸収されますが、腎臓の機能が低下すると尿へ排泄されるようになります。
倦怠感
浮腫
食欲不振
悪心
頭痛
呼吸困難感
末梢冷感
チアノーゼ
タンパク尿
血尿
血圧の上昇(高血圧)
貧血症状(腎性貧血)
腎臓ではエリスロポエチンという赤血球の産生を促すホルモンが作られていますが、腎臓の機能低下によりエリスロポエチンが不足すると赤血球が産生されずに貧血を引き起こします(腎性貧血)。
診断
以下の①、②のいずれか、または両方が3カ月以上持続することで診断されます。
①腎障害
たんぱく尿(微量アルプミン尿を含む)などの尿異常、画像診断、血液検査、病理検査で腎障害の存在が明らかなこと。
特に0.15 g/gCr以上の蛋白尿(30 mg/gCr 以上のアルブミン尿)の存在が診断では重要です。
②腎機能の低下
糸球体濾過量:GFR<60 mL/分/1.73 m2
なお GFR は日常診療では血清 Cr 値,性別,年齢から日本人の GFR 推算式1を用いて算出します。
eGFRcrea(t mL/分/1.73m2)=194×血清C(r mg/dL)-1.094×年齢(歳)-0.287 女性の場合には×0.739
CKDの分類
腎不全末期の治療(腎代替療法)
腎臓の機能がほとんど失われた状態になると、腎臓の機能を代替する治療(腎代替療法)を選択していくことになります。
腎代替療法は透析療法(血液透析、腹膜透析)や腎移植(生体腎移植)になります。ほとんどの場合は血液透析に移行します。
透析療法
血液透析や腹膜透析などにより腎臓の機能を代替します。
腎移植(生体腎移植)
失われた腎臓の機能を他者の腎臓を移植することにより腎臓の機能を取り戻します。生体腎移植は親族(親、子、兄弟)または配偶者から腎臓(1個)の提供を受けます。
参考
①一般社団法人 日本腎臓学会 エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 (2022/06/24)
②一般社団法人 日本腎臓学会 腎臓の病気について調べる (2022/06/24)
③一般社団法人 全国腎臓病協議会 腎臓病について (2022/06/24)
④日本腎臓学会 ,CKD診療ガイド2012 (2022/10/25)