頭蓋内圧亢進
頭蓋骨の内側の圧力が上昇することを頭蓋内圧亢進と呼びます。頭蓋内圧亢進に伴い、頭痛や吐き気、視力障害や麻痺などの症状が出現します。そのまま頭蓋内圧亢進が進行すると脳ヘルニアになり脳幹が圧迫され、生命が危険な状態となるため注意が必要となります。
メカニズム
頭蓋内圧は常に一定に保たれていますが、腫瘍などの原因により異常が起きると頭蓋内圧が亢進します。頭蓋内圧が亢進することにより、脳血管が圧迫され脳への血流量が減少します。脳への血流量が減少するため、血圧を維持するために血圧が症状します。血圧の上昇に伴い、副交感神経が刺激され徐脈となります。このことをクッシング現象と呼びます。
原因
脳浮腫
脳血液量の増加
脳脊髄液の貯留
水頭症や乳頭腫などが原因で起こります。
頭蓋内占拠性病変
脳出血や脳腫瘍、頭蓋内血腫などにより起こります。
症状
頭蓋内圧亢進の症状は急性期と慢性期では異なります。
急性期
激しい頭痛
悪心
嘔吐
クッシング現象
意識障害
瞳孔の散瞳
けいれん
慢性期
頭痛
早朝に出現することが多い。
悪心、嘔吐
嘔吐中枢が圧迫や刺激されることにより生じるため、消化器症状(腹部の不快感や腹痛など)を伴いません。また嘔吐に関しては、吹き出すような嘔吐(噴出性嘔吐)が特徴となります。
視力障害
うっ血乳頭により視力障害が生じます。これは眼底検査により確認することができます。うっ血乳頭は頭蓋内圧亢進症状が出現して数日が経過すると観察されることが多く、症状出現の初期には観察されないこともあります。
外転神経麻痺
治療
外科的治療
外減圧術、内減圧術、腫瘍や血腫の除去術、髄液誘導術(脳室腹腔短絡術、脳室ドレナ-ジ術)
内科的(補助的)治療
抗浮腫薬(利尿薬、ステロイド)、バルビツレート療法、低体温療法
ケア
観察
・クッシング現象の有無(血圧上昇、徐脈、脈圧の増大、圧脈)
・意識レベルの変化(JCS、GCS)
・神経学的徴候(瞳孔不同、対光反射、麻痺の出現)
・頭痛・嘔吐の有無
頭蓋内圧亢進を助長する因子を除去
・呼吸管理 血中酸素分圧
・二酸化炭素分圧を正常域に保つ。
・体位(ベッドアップ20~30度とする)
・排泄のコントロ-ル
頭蓋内圧亢進の治療への援助
ステロイド使用、脳圧降下剤使用による副作用に注意していきます。
全身状態の管理
・合併症の予防
・栄養状態の改善・維持
・清潔の保持
苦痛の緩和
・安楽な体位の調整
・疼痛コントロール