高血圧
血圧が常に高い状態を高血圧といいます。血圧とは心臓から送り出された血液が動脈の内壁を押す力のことを指します。通常は上腕動脈で測定するため、上腕動脈の圧力のことをいいます。日中は血圧は高く、夜間や睡眠中などは血圧は低くなります。また冬は血管が収縮するため夏よりも血圧は高くなります。
ちなみに昔の血圧測定は水銀計を用いていました。水銀は水の13,6倍も重いため、例えば血圧が150mmHgの方は、水に置き換えると約2mもの高さまで吹き上げることができる力が血管にかかっていることになります。そのため高血圧の人は、常にこれほど強い圧力を血管に与え続けるため血管がダメージを受けてしまいます。
血圧に影響する因子
心臓から血液を押し出す力
血管の拡張
血管の弾力性
高血圧の原因
食塩の過剰摂取
肥満
飲酒
運動不足
喫煙
高血圧の種類
高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧の2種類があります。
本態性高血圧
原因がわからない高血圧のことを本態性高血圧といいます。高血圧の人の約90%が本態性高血圧になります。遺伝や生活習慣などが関与しているといわれています。
原因(因子):塩分の過剰摂取、肥満、過剰な飲酒、運動不足、カリウム(K)やミネラル不足(野菜や果物の摂取不足)、喫煙、自律神経の障害
二次性高血圧
体の中に原因が明らかな高血圧のことを二次性高血圧症といいます。
原因:(内分泌系)原発性アルドステロン症、クッシング症候群、甲状腺機能低下症・甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫 、副甲状腺機能亢進症など(腎臓系)腎血管性、腎実質性(その他)薬剤など
高血圧の分類
病院における正常な血圧は120/80mmHg以下になります。基本的に血圧が140/90mmHgを超えると高血圧として治療が必要になってきます。下記は高血圧治療ガイドライン(2019)より引用しています。
分類 | 診察室血圧 | 家庭血圧 | ||
---|---|---|---|---|
収縮期血圧 | 拡張期血圧 | 収縮期血圧 | 拡張期血圧 | |
正常血圧 | <120かつ<80 | <115かつ<75 | ||
正常高値血圧 | 120-129かつ<80 | 115-124かつ<75 | ||
高値血圧 | 130-139かつ/または80-89 | 125-134かつ/または75-84 | ||
I度高血圧 | 140-159かつ/または90-99 | 135-144かつ/または85-89 | ||
II度高血圧 | 160-179かつ/または 00-109 | 145-159かつ/または90-99 | ||
III度高血圧 | ≧180かつ/または≧110 | ≧160かつ/または≧100 | ||
(孤立性)収縮期高血圧 | ≧140かつ<90 | ≧135かつ<85 |
統計
日本人のうち3人に1人(約4000万人)が該当するほど多くの人が持病として抱えています(参考①)。もし高血圧が完全に予防できれば、年間10万人以上の人が死亡せずにすむと推計されています。
検査
主に高血圧によって起きる合併症について検査を行なっていきます。
心電図
心電図検査によって心肥大や心虚血、不整脈の有無を調べます。
心エコー(心臓超音波検査)
心エコーでは心肥大や心機能、弁膜症について調べます。
胸部レントゲン
高血圧合併症である心肥大、 心機能、弁膜症を調べます。 高血圧合併症である心肥大、 心不全の有無を調べます。
尿検査
予防
減塩
食塩を摂取量 6 g/日未満に抑えます。
肥満の予防や改善
適正体重になるように体重をコントロールしていきます。適正体重はBMIから計算され、BMIを18.5から25の範囲になるようにしていきます。
節酒
純アルコール量で男性は20~30 mL/日以下、女性は10~20 mL/日以下に抑えていきます。
アルコール20~30 mL/日の目安:日本酒1合、ビール中瓶1本、焼酎半合、ワインは2杯
運動
毎日30分以上の運動または週180分以上の運動を行なっていきます。
禁煙
摂取が望ましいもの
野菜や果物、多価不飽和脂肪酸(魚など)
摂取が望ましくないもの
飽和脂肪酸、コレステロール
参考(当サイトが加工編集)
①厚生労働省 e-ヘルスネット 身体活動・運動 高血圧 (2021/09/15)
②厚生労働省 e-ヘルスネット 生活習慣病予防 高血圧 (2021/09/15)
③日本高血圧学会 高血圧治療ガイドライン2019(2023/07/05)
④日本高血圧学会他 一般向け「一般向け高血圧治療ガイドライン2019」解説冊子 高血圧の話(2023/07/05)