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#157 むし歯(う蝕) Caries

むし歯(う蝕)

細菌が糖質をもとに作り出す酸で歯を溶かすことによりむし歯になります。唾液は酸を中性に近づけたり、溶けかけた歯を修復する役割を持ちます。しかし多くのむし歯は歯の間や奥歯の溝から発生します。特に溝の細菌は歯磨きでは取り除けません。そのため歯磨きでむし歯は防げないという考えが現代の考え方になります。

特徴

・世界で最も多い病気
むし歯は極めて罹患率が高く多くの人が生涯のうちに一度はかかるとされています。

・自然に治癒しない

①痛みを伴いゆっくりと進行していきます。むし歯により崩壊した歯質は、再石灰化等により自然に回復しません
→できるだけ早く歯科治療を行い、むし歯の穴を埋めて修復していきます。

②そのまま進行すると、歯の神経にまで細菌が達します。
歯の神経を抜く必要があります。

③さらに進行すると、歯の根元にまで細菌が達して病巣ができ、歯肉から膿が出ることがあります。
歯を抜くことがあります。

歯を抜いた場合は差し歯やブリッジなどで失った歯の代わりを行いますが、本来の歯に比べて脆くなります。その他には人工的な物質を植え込む技術(インプラント)が普及してきていますが非常に高額になります。

好発時期

・全世代
子供は特に発症しますが、大人もよく発症します。

原因

歯の表面のプラーク(歯垢)の中には細菌が存在します。細菌は飲食物の中の糖分を摂取・分解して酸を出します。この酸により歯は溶かされます(脱灰)。人の唾液は、酸を緩衝して中性に近づけることで歯を守ります。また唾液は、カルシウムやリン酸を含んでおり、これらが脱灰された歯を修復(再石灰化)します。糖分の摂取が頻繁で、酸の緩衝や再石灰化が間に合わずに脱灰された状態が続くと、その部分は崩壊しむし歯となります。

むし歯が発生しやすい歯の部分

下記はプラーク(歯垢)は除去することが難しいためむし歯が発生しやすく場所になります。

・臼歯の溝/前歯の裏側のくぼみの部分(小窩裂溝)
歯ブラシの毛先が届かず、子供に発生するむし歯の8割以上との報告もあります。

・歯と歯の間(歯間部)

・歯ぐきに近い部分(歯頚部)

むし歯の治療に用いた歯科材料と歯との隙間に細菌が侵入して、詰め物の底の部分にむし歯になることもあります。歯ブラシの届く場所のむし歯は歯みがきで防げますが、最もむし歯になりやすい部位のむし歯は歯みがきでは防げないのが現状です。

治療

・崩壊した歯質を歯科材料で置き換える
元の健全な歯に回復するわけではありません。

・差し歯

・ブリッジ

・インプラント

予防

・適切なブラッシング

・清掃補助用具(デンタルフロスや歯間ブラシ)の使用

・フッ化物の利用

・小窩裂溝を埋めるシーラント

・糖分の摂取制限

子供の時にむし歯にあまり罹患しなかった大人では、むし歯に罹患していない歯を多く有するため、生涯を通じてむし歯を発症する可能性を有します。さらに歯を多く有する高齢者では、歯周病により歯の根面が露出した部分にむし歯が発生することが多くなります。このため子供のむし歯が減って、さらに歯が多く残るようになると、大人や高齢者になってからのむし歯が増加するといわれています。

補足

その人が住む地域の社会環境や生活環境(これらは社会的決定要因と言われます)が人々の行動を左右してしまうため、地域差が発生しています。 生活環境を変えないと、行動を変えるのは困難だといわれています。そのため現在では「病気は個人の努力で防げる。病気になるのは自業自得である」と考えるのは、おかれた生活環境のために病気になった人を非難するのに等しい(犠牲者非難)と指摘されています。生物学的な要因を集積させる人々の特性や環境に焦点を当てることが、社会環境・生活環境により生じる健康格差を減少させると期待されています。

引用(当サイトが加工編集):厚生労働省 e-ヘルスネット むし歯の特徴・原因・進行(2021/12/23)

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