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#180 緑内障 Glaucoma

緑内障

眼圧が上昇することにより視力の障害が起こる状態緑内障といいます。視野の異常は鼻側から起こるため、病気の初期は自覚症状がない場合が多いです。眼圧正常値 (10〜21 mmHg) を超えた場合は緑内障が疑われますが、ほとんどの緑内障の眼圧は正常の範囲内にあります。日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(多治見スタディ)から、眼圧は正常範囲内を示す緑内障の病型が多いことが分かっています。

原因

・原因不明

他の病気に関連して緑内障になることがありますが、大半は原因不明です。

正常な眼圧

10〜21 mmHg(日本における基準)

上記を超えた場合は緑内障が疑われます。

病型の分類

①原発緑内障

眼圧上昇の原因が緑内障の場合は原発緑内障に分類されます。他の原因を精査し緑内障以外の原因を否定する必要があります。

②続発緑内障

他の疾患または薬が原因となって眼圧上昇する場合は続発緑内障に分類されます。

上記の①、②は、さらに隅角が開放しているか閉塞しているかによって細分されます。

◆開放隅角:房水の流出を妨げるような障害物がない場合

 

◆閉塞隅角:隅角がふさがっている場合

③発達緑内障

胎生の時に隅角の発達異常により眼圧上昇が生じる場合は発達緑内障に分類されます。

病気のタイプ

原発開放隅角緑内障(POAG)

一般的な緑内障のタイプ

病期

正常眼圧緑内障(NTG)

症状

眼痛、頭痛、悪心、嘔吐、視力低下、視野狭窄

治療をしないまま症状が進行すると失明に至ります。

検査

眼底検査(必須)

一般的に眼底検査では散瞳薬(ミドリンPやネオシネジン)を用いて、瞳孔を大きくした状態で眼底の隅々まで調べます(例えば網膜剥離や糖尿病の網膜症など)。しかし緑内障の場合は、散瞳により眼圧が上昇し、緑内障を悪化させる可能性があることや、所見の観察は散瞳しなくても観察が可能な場合が多いことから散瞳薬を用いられることはあまりありません。

眼圧検査

眼圧は正常範囲内であっても、その眼圧をより低くすることが視野障害の進行を遅らせる方法となることが報告されています。そのため定期的に眼圧検査を行い、眼圧をコントロールしていく必要があります。

視野検査

隅角検査

隅角検査は眼圧上昇の部位の確認とともに,病型の分類に必要な検査になります。

トノグラフィー検査

治療

眼圧下降療法(点眼薬)

点眼薬(薬物療法)で眼圧を下げていきます。

手術

レーザー色彩切開術、周辺色彩切除術などが挙げられます。

ケア

緑内障は生涯にわたって向き合っていく必要があり、日々のコントロールが病気の進行や増悪に大きく影響します。

安静

眼圧が上昇し諸症状が現れているときは眼圧を上昇させないようにできる限り安静を保ちます。

眼精疲労を避ける

スマホやパソコン、読書など目に負担をかけすぎないようにします。一定時間の作業を行なったときは眼を休める時間を設けることが眼の疲労を和らげます。

心身の疲労を避ける

十分な睡眠や適度な休息、気分転換を行うなど、心身がリフレッシュできるようにしていきます。

治療の継続

点眼薬による薬物療法は検査により効果があるか確認を行う必要があります。そのため定期的に検査をしていくことや毎日の点眼を行うことなど、治療を継続できることが緑内障の治療では大切になります。適切な治療ができずに病気が進行してしまうと失明する恐れがあり、生活の質(QOL)を著しく下げる原因となります。

禁忌

ステロイド

眼圧を上昇させるため、緑内障を悪化させる恐れがあります。

散瞳薬(抗コリン薬)

眼圧を上昇させるため、緑内障を悪化させる恐れがあります。

参考(当サイトが加工/編集 2022/05/27)

①庄司信行(2017)緑内障の診断と治療 総説 47,109-134 北里医学

緑内障の診断と治療について、わかりやすくまとめられています。専門的に学びたい方にはおすすめです。

日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(多治見スタディ)報告

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