心電図波形
心臓の電気的な流れを表したものが心電図波形になります。心電図の波形はP波から始まり、QRS波に続き、T波で終わります。これらの正常な波形は規則正しく繰り返していきます。それぞれの波形には意味があるため、その意味を押さえていきましょう。
基本の波形
P波:心房の興奮
洞結節から出た電気刺激が心房全体に伝わっている状態になります。
QRS波:心室の興奮
心室の興奮を指します。
T波:心室の回復
心室の興奮から元に戻る過程のことを指します。
正常な波形
正常洞調律(SR:サイナスリズム)
正常な心電図のことをいいます。
異常な波形
洞性頻脈
心拍数が100回/分以上の心電図波形のことをいいます。頻脈であること以外は正常になります。
洞性徐脈
心拍数が50回/分以下の心電図波形のことをいいます。徐脈であること以外は正常になります。
上室性期外収縮(PAC/SVPC)
経過をみていく波形になります(医師には回診時などに報告)。心拍が早いタイミングで出ることを期外収縮といいます。P波より早くQRS波が出た状態になります。健康な人でも出ることがあります。その他には高血圧の人や心疾患があると出やすくなります。多発すると心房細動へ移行するため、多発しているかどうかの観察は必要になります。
心室性期外収縮(VPC/PVC)
経過をみていく波形になります(医師には回診時などに報告)。心拍が早いタイミングで出ることを期外収縮といいます。P波より早くQRS波が出た状態になります。QRS波の幅が広い特長的な波形が出ます。健康な人でも出ることがあります。その他には高血圧の人や心疾患の人、高齢者などが出やすくなります。連発すると治療が必要な場合があります。→心室性期外収縮の重症度分類
心室頻拍(VT)
早急に対処が必要な波形になります。心室性期外収縮が3連続以上起こる波形のことを言います。心拍出量が減少するため、長く続くと意識消失する可能性があります。心室頻拍(VT)をそのまま放置すると心室細動に移行することがあります。VT出現時は医師に報告します。その時に意識レベルや血圧の値(測定できるかどうか)も一緒に報告するとその後の対応が迅速に行えます。意識があり血圧が測定できる場合はリドカインやアミオダロンなどの抗不整脈薬を投与、意識がなく血圧測定できない場合は電気的除細動器(DC)を行われるため準備を行います。
心室細動(VF)
早急に対応が必要な波形になります。心停止を意味する波形で、心室から血液の拍出が一切ない状態になります。心室細動(VF)が出現して5秒ほどで意識がなくなり、10分ほどで脳死状態となるため、一刻も早く電気敵除細動(DC)を行う必要があります。
発作性上室頻拍(PSVT)
ただちに医師に報告が必要な波形になります。突然始まり、突然終わる頻拍のことをいいます。動悸や息切れ、血圧低下、意識レベルの低下が現れます。抗不整脈薬やカテーテルアブレーションが行われます。
心房細動(Af)
ただちに医師に報告が必要な波形になります。心房が不規則に250~350/分以上で震えている状態になります。
心房粗動(AF)
早急に対応が必要な波形になります。頻拍の状態であり、動機や意識レベルの低下、失神、心不全になる可能性があります。心室細動へ移行する可能性があります。抗不整脈薬や電気的除細動(DC)、カテーテルアブレーションが行われます。
洞不全症候群(SSS)
以下の3タイプあるが、必要に応じてペースメーカーが適応となる。
Ⅰ度房室ブロック
持続的な洞性徐脈のことをいいます。
Ⅱ度房室ブロック(ウェンケバッハ型/モビッツⅡ型)
洞停止や洞ブロックにより波形が延長します。延長箇所にはP波は見られません。
Ⅲ度房室ブロック(完全房室ブロック)
徐脈性不整脈と頻脈性不整脈が混在するもの。
WPW症候群
脚ブロック(右脚ブロック/左脚ブロック)
右脚に伝達障害が起きると右脚ブロック、左脚に伝達障害が起きると左脚ブロックになります。健康な人にも生じうる不整脈です。右脚ブロックは先天性心疾患、肺疾患(肺動脈疾患)、左脚ブロックは心疾患の人に現れやすいです。