逆流性食道炎
何らかしらの原因により胃の内容物が食道へ逆流し炎症が起きている状態のことを逆流性食道炎といいます。口から食べたものは食道を経て胃に移動します。これらの流れは一方通行で逆流することはありませんが、逆流性食道炎は逆流し食道内でトラブルが起きている病気になります。
原因
下部食道括約筋のゆるみ
胃や腹部の圧迫
食道裂孔ヘルニア
消化管運動の低下
胃摘出後
逆流性食道炎は主に胃酸が原因で食道に炎症が生じます。胃全摘後では胃酸ではなく、十二指腸液(胆汁と膵液)が逆流し食道に炎症が生じてしまいます。
症状
嘔気、嘔吐、食欲不振
合併症
食道炎
食道潰瘍
食道狭窄
食道癌
パレット食道
検査
上部消化管内視鏡検査(食道カメラ)
食道の粘膜の状態をカメラを用いて直接観察し、炎症などの粘膜のトラブルが生じていれば逆流性食道炎と診断されます。
食道内phモニタリング検査
鼻から管を通して食道内のphを24時間継続的に測定します。食道内へ胃酸が逆流するとph4以下となるため、食道内のphを測定することにより、胃酸が逆流しているかのモニタリングが可能になります。
食道内圧検査
下部食道括約筋の働きを測定でき、逆流の程度がわかります。
胃排出シンチグラフィー
胃内容物が胃から排出される速度を測定します。そのことによって、胃から排出が遅い場合は胃不全麻痺と呼ばれる病気になります。
レントゲン検査
下部食道括約筋のゆるみ具合をみることができたり、食道病変の有無をみることができます。
治療
薬物療法(胃酸分泌抑制薬)
胃酸分泌抑制薬であるプロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2受容体拮抗薬を使用します。
ケア
頭部の挙上
食道へ逆流しないように、なるべく食道を高い位置にするために頭部を挙上していきます。
飲食物の管理
アルコール摂取や脂肪分の多いものの摂取を控えます。コーヒーやアルコール、脂肪分は胃酸分泌を促します。
就寝3時間以内の摂食を控える
就寝時は臥床により胃内容物が逆流しやすい状況になります。
参考
①胃食堂逆流症(GERD)診療ガイドライン2021(改訂第3版) 日本消化器病学会(2023/10/09)