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#227 骨髄小脳変性症 (SCD) Spinocerebellar degeneration

骨髄小脳変性症 (SCD)

小脳やその連絡線維の変性により運動失調症などの症状をきたす変性疾患の総称骨髄小脳変性症(SCD)といいます。運動失調症などの小脳症状や錐体外路症状(パーキンソニズム)、自律神経症状などの症状が出現してきます。悪化してくると錐体路症状が出現します。難病に指定されています(指定難病18)。

原因

不明

遺伝

種類

孤発性と遺伝性の2つの種類があります。具体的には30以上の型が報告されていますが、ここではその一部を抜粋しています。

孤発性

・多系統萎縮症(MSA)

 MSA-C(オリーブ橋小脳変性症)
 MSA-P(線条体黒質変性症)
 Shy-Drager(シャイドレーガー)症状群

・皮質性小脳萎縮症(CCA)

遺伝性

・SCA-3(マシャド-ジョセフ病)

・SCA-6など

症状

小脳失調や錐体外路症状、自律神経障害の3つが挙げられます。進行してくると錐体路症状が出現します。

小脳失調

小脳失調(小脳性運動失調)では、歩行障害、構音障害、四肢・体幹の協調運動障害、眼振などがあります。

錐体外路症状(パーキンソニズム)

錐体外路症状(パーキンソニズム)では下記の4つの症状が特徴になります。

振戦(安静時振戦)

何もしていないときに手足が振るえます。しかし動作を行うと振えはなくなります。これはパーキンソン病の初期症状で有名です。

特徴:規則正しい動きで非対称性に出現します。

筋固縮(筋強剛)

筋肉がこわばりますv。筋肉の動きがぎこちなくなります。

特徴:鉛管現象(関節運動に終始抵抗がある状態)や歯車現象(抵抗が断続的にある状態)がみられます。

無動(運動緩慢)

動作が遅くなったり、動こうと思っても動けません。表情には変化がなくなり(仮面様顔貌)、声は小さく、書字では字が小さくなります。

特徴:無表情で目は一点を見つめます(仮面様顔貌)、字がだんだん小さくなります(小字症)、声も小さくなります、動作が遅くなります。

姿勢反射障害(姿勢保持障害) 

前傾姿勢になりやすいです。姿勢を保つことができず倒れやすくなります。

その他の症状

・歩行障害

上記の無動姿勢反射障害により、特徴的な歩き方になります。初めはすくみ足になり、歩行時にうまく足を前に出すことができません。そこからすり足歩行や小刻み歩行となり、突進歩行(加速歩行)になります。

自律神経障害

「自律神経」は「交感神経」と「副交感神経」があり、自律神経が障害されることにより代表的な症状として下記のものが現れます。

起立性低血圧

「交感神経」が優位になると血管は収縮し心拍数は増加します。「副交感神経」が優位になると血管は拡張し心拍数は落ち着きます。その調整障害により起立時に脳に血液が十分に供給されずに低血圧になります。ゆっくり動くなどの動作の工夫や弾性ストッキングの着用により対応していきます。

便秘・下痢

「交感神経」が優位になると腸蠕動が減弱し、「副交感神経」が優位になると腸蠕動は活発になります。その調整障害により便秘と下痢になります。

排尿障害(神経因性膀胱)

蓄尿には「交感神経」が影響し、排尿には「副感神経」が影響します。そのことにより蓄尿障害では頻尿と尿意切迫、排尿障害では排尿困難や残尿などが挙げられます。

錐体路症状

進行すると上記の小脳症状、錐体外路症状、自律神経症状に加え、錐体路症状が出現します。

錐体路症状は上位運動ニューロンが障害されることにより生じます。上位運動ニューロンは運動の指令を伝える役割をしていますが、その働きが障害されることにより下位運動ニューロンが過剰に働き筋肉が過緊張になります。そのことにより、痙性麻痺筋トーヌス亢進腱反射亢進などの症状が見られます。

検査

MRI検査

小脳萎縮や脳幹萎縮、基底核の萎縮や信号強度の変化などを評価していきます。

核医学検査

ドパミン産生細胞の状態や小脳の血流や糖代謝の低下の有無、心臓の交感神経の変性などを評価していきます。

遺伝学的検査(遺伝性が疑われる場合)

問診

発症年齢、家族歴、経過、神経症候などの基本的情報が必要になります。

治療

骨髄小脳変性症に対する根治療法はなく、症状に対する治療(対症療法)になります。

「症状」の箇所で述べた通り、骨髄小脳変性症では「小脳失調」「錐体外路症状(パーキンソニズム)」「自律神経障害」が挙げられます。それぞれの症状に対して治療を行っていきます。また運動機能が低下してくることからリハビリが有効となります。

小脳失調に対する治療

・TRH製剤やTRH誘導体(セレジスト、ヒルトニンなど)

パーキンソニズムに対する治療

・L-ドーパ(ネオドパゾール、エフピー、コムタンなど)

自律神経障害に対する治療

現れている自律神経障害によって異なります。例えば起立性低血圧に対しては塩酸ミドドリン(メトリジンなど)や排尿障害に対してはα遮断薬(ユリーフなど)が用いられます。

リハビリ

ケア

 

 

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