2型糖尿病
血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)が多くなりすぎる病気のことを2型糖尿病といいます。具体的にはインスリン分泌の不足か、分泌されても十分に働かないため血糖値が慢性的に高くなる疾患のことです。糖尿病になり始めの時は、症状がほとんどなく自覚がほとんどありません。しかし少しずつ進行してくると身体の血管がだんだんと固くなってきてトンネルみたいにガチガチになります(動脈硬化症)。血管が固くなることによって血管系の病気(脳卒中や心筋梗塞などの虚血性心疾患)になりやすくなります。食の欧米化が影響していることや、欧米人に比べて日本人はインスリンの分泌が半分程度と言われており、糖尿病を発症しやすいと言われています。
糖尿病は、すい臓で作るインスリンが足りなくなったり、効かなくなったりして、血液中のブドウ糖が細胞に入ることができなくなる状態です。健康な人では、食後、血液中のブドウ糖の濃度(血糖値)は一時的に高くなりますが、インスリンの力によってブドウ糖はすぐに細胞に入るので、血糖値は早めに元に戻ります。しかし、糖尿病では、ブドウ糖が細胞に入ることができにくく、血液中にブドウ糖があふれかえってしまい、血糖値がいつも高い状態になります。
原因
肥満
肥満になるとインスリンが効きが悪いため高血糖が持続します。 また内臓脂肪が多い場合や脂肪肝の場合、インスリンの効きが悪くなります。そのためダイエットにより減量をするとインスリンの効きが良くなり血糖が以前より安定してきます。
遺伝(家族に糖尿病の人がいる)
親が糖尿病の場合は糖尿病を発症する可能性が高くなるなど遺伝の要素があります。
運動不足
運動不足によりインスリンの効きが悪い状態になります。また運動が不足することにより肥満となりインスリンの効きが悪い状態となります。
食事
糖質と脂質(カロリー)が多い食事をすると糖尿病になりやすくなります。糖質の多い食事では、インスリンで血糖を下げる働きが追いつかなくなるため高血糖状態が持続します。また脂質(カロリー)の多い食事を摂取することにより肥満となりインスリンの効きが悪くなります。
症状
多尿
糖尿病により高血糖状態になると、尿の中に糖が出てきます。糖は尿と一緒に水分も出すため尿量が多くなります。
口渇
多尿により脱水状態となり、口渇を感じます。水分をたくさん飲みたくなります。
多飲
多尿により脱水状態となり、口渇を感じます。そのため水分を多く摂取します。
体重減少
身体の糖が尿に共に排泄されるため、身体はタンパク質や脂肪を利用してエネルギーに利用します。その結果、体重が減少していきます。
易疲労感(倦怠感)
身体のエネルギーが不足してくると、疲れを感じやすくなります。
合併症
糖尿病が進行すると段階的に合併症が生じます。このことを糖尿病の3大合併症と呼ばれます。合併症は神経障害から進行し、網膜症に移行後、最終的には腎症になります。
3大合併症の覚え方:しめじ(し/神経障害 め/目 網膜症 じ/腎症)
神経障害
手足に痛みを感じたり、手袋や靴下を履いてるかのような感覚の異常が出てきます。
網膜症
目が見えにくくなったり、網膜剥離や網膜出血により失明する可能性があります。
腎症
腎臓の機能が悪くなってきて最終的に透析につながります。
3大合併症が進行すると、心臓や脳にある大きな血管が障害されてきます。代表的な疾患は心臓では心筋梗塞、脳では脳梗塞が挙げられます。上記全てを含め糖尿病の5大合併症と言われます。
心筋梗塞
脳梗塞
血流障害により影響を受ける器官 | ||||
末梢神経 | 目(網膜) | 腎臓(糸球体) | 心臓(冠動脈) | 脳(脳動脈) |
↓ | ↓ | ↓ | ↓ | ↓ |
神経障害 | 網膜症 | 腎症 | 心筋梗塞 | 脳梗塞 |
細小血管障害(3大合併症) | 大血管障害 |
糖尿病足病変
検査
血液検査(HbA1c)
HbA1cは過去1ヶ月〜2ヶ月くらいの血糖を反映するので、直前の食事の影響を受けにくいことや過去の血糖の値を見ていくために糖尿病の指標としてよく利用されています。ちなみにヘモグロビンは、血液の中で酸素を運ぶ働きをしていますが、その一部はブドウ糖と結合します。これがHbA1cになります。そのため血糖値が高い状態が続くとブドウ糖と結合しているヘモグロビンが多くなるのでHbA1cが高くなります。
糖尿病は何回かの検査を組み合わせて診断されますが、下記の場合、糖尿病である可能性が高くなります。
・空腹時血糖:126mg/dl以上
・随時血糖:200mg/dl以上
または
・HbA1c:6.5%以上
*特定健診では、空腹時血糖100ml/dl以上 or HbA1c 5.6%以上を高血糖の基準になります。
尿検査
治療
血糖降下療法(内服、インスリン注射)
糖尿病の予防
規則正しい生活が糖尿病を予防するための最も効果的な行動になります。
食習慣
・摂取エネルギー量をとりすぎないこと
・野菜や大豆製品、海藻、きのこなどを多くとること
運動習慣
・運動をすること
嗜好品
・アルコールをとりすぎないこと
・たばこを吸わないこと
などがあげられています。
しかし糖尿病になってしまった場合には、上記よりも厳格な食事療法、運動療法が必要となります。
ケア
低血糖に対する対処行動の獲得
血糖の値が低下し低血糖になると、冷汗、動悸、空腹感、何もないのにイライラする、生あくび(眠気がないのに出るあくび)、意識レベルの低下、寝汗、悪夢などの症状が現れます。一度低血糖の症状を経験すると同じ症状が低血糖時に現れやすいですが、低血糖の経験がない場合は、低血糖に対する理解と対処行動について説明を行い対処行動が獲得できるように支援していきます。
インスリンの手技を含めた管理方法の確立
糖尿病に対する知識や理解度の把握
高血糖状態が続くと何が悪いの?
血液はサラサラな状態ですが、糖が多い血液(高血糖)の状態ではドロドロした血液であるため血液の流れに障害(血流障害)がでてきます。血流障害により影響を受けた部位が障害されてきます。
参考(当サイトが加工/編集 2021/09/15)